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うさぎの診療室

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うさぎの診療室

うさぎの健康・病気について

こんな症状ありませんか?

「食欲がなくなった」「足をひきずっている」「フンが下痢っぽい」「顔や体が傾いている」「一部分の毛が薄くなっている」「鼻水を垂らしている」など、少しでも普段と様子が違うようであれば、すぐに動物病院へ連れていくようにしましょう。うさぎは犬や猫と違って体調が悪くても表情が読みづらくいので、なかなか病に気付かないこともあります。そのため病気の発見が遅れてしまい、気付いたら手遅れということもあります。些細なことでも何か気になることがあれば、当院へご相談ください。


よくある病気

口腔疾患

不正咬合
ウサギの永久歯は切歯と臼歯からなり(28本)、常生歯と言って生涯伸び続けます。上下の歯がうまく噛み合っていると摩滅し合って適切な長さが保たれますが、何らかの理由で噛み合わせが悪くなると歯が異常な方向に伸びてしまいます。これを不正咬合と言います。
食欲不振、ヨダレ、歯ぎしり、湿性皮膚炎、下痢、体重減少の原因になります。特に臼歯において、下顎では歯槽骨膿瘍、上顎では鼻涙管の圧迫、狭窄、流涙症、膿性眼脂、眼球突出へと進展します。原因は後天性要因と先天性要因が複雑に絡み合います。少しでも異常を発見したら、すぐに病院に相談しましょう。

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顔面の膿瘍

ウサギの顔面、特に下顎、頬、眼窩下、眼窩内には細菌感染によって膿瘍(膿を封じ込めた病巣)を生じることがあります。これらの大半は歯のトラブルに伴うもので、歯根の異常な伸びや歯周炎が原因で根尖周囲が細菌に侵されたり、異常に伸びた歯冠で傷ついた口腔粘膜から細菌が侵入することで病巣が作られます。治療には長期を要する例が多く、完全な回復が難しい場合もありますが、生活の質を高めることを目的に歯の処置を含めた外科治療や抗菌薬の投与などが試みられます。



消化器疾患

うさぎの病気の中で一番多い病気がこの「消化器疾患」です。健康なウサギのフンは丸くコロコロしているので毎日確認するようにしましょう。下痢をしていると尾やお尻の周りが便で汚れ、水様便や粘液便ときには血便になったり、命に関わることもありますので早急に診察が必要です。また、フンが出ない場合もすぐに動物病院へ相談しましょう。

胃腸の運動性低下(食滞症)
口から入った食物は胃腸を通過し、便として排泄されます。食物が消化管をスムースに通過するには胃腸の運動性が適正に保たれていなければなりませんが、食物中の繊維不足やストレス(食事内容の急な変更、環境の変化、痛みなど)を伴うと胃腸の動きが鈍くなり、内容物の送り出しがうまくいかなくなります。食欲不振を伴う病気(歯科疾患、腎疾患、肝疾患、腫瘍性疾患など)も食滞症をおこす原因になります。また、腸内環境が乱れ、病原性細菌の異常な増殖を許してしまいます。

胃の異常
代表的なものには、被毛などの異物が胃内に滞っているために生じる異常(慢性の胃内異物)と、これらの異物が胃の出口や腸の入口を塞いでしまったために生じる異常(急性閉塞または急性誇張症)があげられます。ウサギは頻繁にグルーミングを行い、ある程度の被毛は常に呑み込んでいますが、胃腸の動きが正常で食物繊維の豊富な食事をとっていれば、よほど多く(または大きな塊)を呑み込まない限り便と共に排泄されます。しかし、ストレスなどが原因で胃腸の運動性が低下した状態では、これらが胃の中に滞り、急性あるいは慢性的な症状を引き起こす原因となります。

腸の異常
草食動物であるウサギの腸はとても長く、盲腸が大きなことが特徴です。腸内では常在する細菌が消化の大きな役割を担い、特に盲腸ではこれらの細菌により栄養豊富な盲腸便が作られ、肛門から直接食べる習性(食糞)があります。このために栄養価の低い植物だけを食べていても十分なエネルギーを得ることができます。ウサギの腸が正常に働くためには繊維を豊富に含む乾草が不可欠です。不適切な食事やストレスなどの悪条件が重なると腸の動きが鈍るために腸の環境が変わり、ある種の腸内細菌が増えて病原性を発揮するようになります。これらの細菌が作るガスや毒素は身体に様々な悪影響を及ぼし、特に子ウサギでは重篤な状況に陥ります。

子ウサギの下痢(腸性毒血症)
子ウサギは腸内細菌叢がとても不安定なため、環境や食事内容の変化に伴い下痢(急性腸炎)を起こすことがあります。下痢は小さな子ウサギにとって極めて危険な状態です。小さな身体から大量に水分が奪われるばかりではなく、腸内で毒素を産生する菌の異常な増殖に伴い死に至ることも少なくありません。下痢の原因はコクシジウムのような原虫のこともありますが、腸内環境の悪化によるものが大半です。



呼吸器感染症(スナッフル)

スナッフルとは、呼吸のたびに鼻の詰まった音をたて、鼻汁やくしゃみを伴う症状を表す言葉で、慢性鼻炎や副鼻腔炎に対して用いられます。若いウサギがスナッフルを生じる原因は呼吸器系の細菌感染で主な原因菌はパスツレラ菌ですが、ブドウ球菌、緑膿菌なども鼻炎の原因になります。中高年のウサギの呼吸器症状は異物か腫瘍が原因の時もあるので、レントゲン検査などの詳しい診察が必要です。



泌尿器・生態系疾患

子宮疾患
ウサギは子宮疾患の発生頻度が高い動物です。本来なら年に5~6回妊娠する繁殖能力があるのですが、家庭飼育の場合、妊娠する機会が殆どなく、ホルモンバランスが崩れ、子宮や卵巣に病気が多発します。子宮内膜症(過形成)、子宮腺癌、子宮平滑筋肉腫、子宮水腫などですが、末期にならないと症状(元気食欲低下)が出にくい為、発見が遅れがちになります。特に子宮腺癌は転移し易い為、早期に外科摘出が必要です。子宮病巣から出血があれば、血尿がみられるので、様子を見ないで診察を受けて下さい。

膀胱炎
膀胱炎の主な原因は細菌感染で、様々な細菌が膀胱に炎症を起こします。炎症が起こると尿の色が暗赤色または褐色になります。頻繁にトイレに通う、いつもと違う場所に排泄するなどの症状がみられることがあります。尿検査、レントゲン検査などで診断します。結石や腫瘍、神経系が筋骨格系の障害でも膀胱炎が起こります。

尿石症
ウサギはカルシウムを腸から効率よく吸収し、過剰なカルシウムの大半は尿中に排泄されます。その為、高カルシウム食を続けると、結石が出来易くなります。好発部位は、尿管、膀胱です。尿路閉塞が起こるとウサギは苦しいので、元気・食欲が低下し、痛みで歯ぎしりをします。血尿、尿かぶれ、尿が出ないなどの症状がみられます。治療が遅れると死に至ることもあるので、早期の診察、治療が必要です。

精巣腫瘍
多くは、片側の精巣が腫れていることで気付きます。床面に擦れるようになると傷つき細菌感染を起こし、腹膜炎など致命的になる事もあります。早期に手術で病巣を取り除く事が望まれます。



皮膚疾患

細菌性皮膚炎
細菌が皮膚に感染し、皮膚が炎症を起こしている状態のことで、膿皮症とも言われます。原因には、口腔疾患などで常に皮膚が汚れることや、血行不良、免疫力の低下などがあげられます。肥満や筋骨格系のトラブルなどで、陰部に排泄物が付着する為に皮膚炎が起こることもあります。

皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌(カビの一種)が原因で皮膚病巣を生じる事があります。多くの場合、菌が存在しても症状は現れませんが、何らかのストレスが関わった時に発症します。特に幼齢蒔や他の病気で衰弱している場合に発症しやすくなります。フケや脱毛が認められ、典型的には丸い形に脱毛しますが、まだらに抜けることもあります。病巣は顔や手足のほか、身体のあらゆる所に発症します。

足底皮膚炎(飛節ビラン)
ウサギの四肢には、犬や猫のような肉球(パッド)が無く、被毛がクッションの役割をします。遺伝的に足底の被毛が薄い、肥満で身体が重い場合、足底は床面による圧迫を強く受けます。床面が硬い、ザラザラしている、運動不足による抹消の循環不全、汚れが激しく不衛生な環境など複数の悪条件が重なり発症します。症状が進むと、熱をおび膿を持つようになり、元気、食欲が低下し、衰弱します。早期の治療と家庭でのケアが大切ですから、病院にご相談下さい。

被毛ダニ(ツメダニ、ズツキダニ)
ウサギの被毛にはツメダニとズツキダニが感染する事があります。2種類が同時に寄生する事もあります。痒み、フケ、脱毛のなどのサインが一般的です。診断は、顕微鏡で虫体や虫卵を確認します。治療は殺ダニ剤を一定間隔で数回投与(注射や滴下)しますが、市販の殺ダニ剤はウサギに有毒を起こすものもある為、必ず病院に相談して下さい。



トレポネーマ症

スピロヘータの一種により起こる病気で、トレポネーマ症、スピロヘータ症、ウサギ梅毒などと呼ばれています。交尾、接触、授乳などで感染します。日和見タイプでストレスにより発症し、鼻、唇、会陰部に潰瘍性の皮膚炎が起こります。厚い痂皮が出来ると鼻に角が生えたように見えることがあります。治療には、原因菌に効果的な抗菌薬を注射もしくは内服をします。



骨折

ウサギの骨はとても軽く出来ています。骨がもろい為、少し高い所から飛び降りた、ドアに軽く挟まれた、物音や突然の出来事に驚いてケージ内で暴れたなど、日常的に起こる些細なアクシデントが骨折に結びつきます。骨折部位は様々ですが、四肢の骨折では足を引きずる、歩行異常があっても元気食欲に変化が無い事もあれば、強い痛みを伴う事もあります。脊椎骨折は深刻で、後半身麻痺し、排尿、排便が出来なくなり、QOLが著しく低下します。治療の進め方は、骨折の部位や程度、年齢、健康状態を考慮し、外科手術が必要かどうか病院で相談して下さい。




体表の腫瘍

体表に生じる腫瘍は良性のものばかりではなく、悪性度が高いこともあります。発生場所や大きさは様々で一概には言えませんが、年齢に伴い発生率は高くなります。メスの乳腺腫瘍は血の混ざった乳汁が出たり、乳腺の腫れ陰部からの出血などがみられることもありますが、あまり変化が無いこともあり、発見が遅れる事があります。治療の基本は外科切除です。リスクなどの詳細は担当の獣医師の説明を受けて下さい。



頭部の傾斜(斜頸)

首が左右どちらかに傾く症状を斜頸といいます。細菌感染などによる内耳の病的な変化や、エンセファリトゾーン(微胞子虫)に脳の一部が侵されたために起こることが知られていますが、原因不明で突然発症することもあります。症状は首が少し曲がっているだけから、眼や頭が揺れる、姿勢バランスを崩す、回転する(ローリング)などです。不自然な姿勢から眼を地面でこすり、結膜炎、角膜炎を招くこともあります。エンセファリトゾーンの感染が疑われる場合は、血液中の抗体価を調べますが、この病気の特性により確定診断を下せないこともあります。治療は、抗菌薬、消炎剤、対症治療薬を処方しますが、適切に治療しても完治は容易ではなく、症状のコントロールに努めます。


眼の疾患

結膜炎
結膜とは白目から瞼の裏側までを覆っている粘膜のことです。結膜炎はウサギには比較的多く、乾草の粉、オガクズ、ほこり、化学物質などの刺激や細菌感染が原因のこともありますが、歯科疾患、呼吸器疾患、他の眼科疾患から二次的に生じることもあります。眼の周りが赤くなる、瞼が腫れる、涙が出る、膿性目ヤニなどの症状が現れます。治療、治療期間は症状により様々です。

流涙症
眼の分泌腺で作られた涙は涙点から入り、目頭の内側にある涙嚢にたまり、鼻涙管を通じて鼻へ抜ける仕組みになっています。この管は臼歯や切歯の根元近くを通っているため、歯にトラブルがあると管が押され、通りが悪くなり、涙があふれるようになります。長引けば、眼の周りの被毛は湿気を帯び、もつれ、皮膚炎が起こります。治療は、点眼薬の投与、抗菌薬の内服、鼻涙管の洗浄を試みます。

角膜の損傷
角膜は眼球の表面にある透明の膜です。何らかの原因で角膜に傷が付くと、炎症反応が起こり(角膜炎)、病的な変化が角膜の深くにまで及ぶことがあります。(潰瘍性角膜炎)主な原因は外傷や異物による傷です。また歯にトラブルがあっても、角膜を保護する涙の成分が変わるので、感染が起こり易くなります。治療期間は症状により、様々です。

前部ブドウ膜炎
ウサギの眼の中に、白またはクリーム色の塊(フィブリンや膿)が出現することがあります。これは虹彩と毛様体に炎症があることを示しています。角膜の炎症や傷から細菌が侵入する、あるいは眼以外の場所から血流を介して細菌が入ることが主な原因と考えられますが、エンセファリトゾーンにより水晶体が破れることも周辺の虹彩が炎症を起こす原因になります。治療には症状に応じた点眼薬を用いる他、全身的な抗菌薬投与などが試みられます。眼球内の塊を消失させることは実際には不可能ですが、症状の進行を抑えられれば、日常生活に支障はありません。ただし、痛みが強い場合や炎症が眼球全体に及ぶ例では、眼球摘出を要することがあります。



バースコントロール

避妊手術
小型の草食動物であり、肉食獣に捕食される立場にあるウサギは子孫を残す必要性から、優れた繁殖力を備えています。ところが、妊娠する機会がほとんど(あるいはまったく)ない家庭のウサギの場合は常に卵胞ホルモンが優位になり、発情状態が続く事になります。この不自然なホルモンバランスは子宮や乳腺に様々な悪影響(子宮癌、乳腺癌)を及ぼし、寿命を左右するばかりでなく、メスウサギにとってはイライラした状態が続くので、オーナーとコミュニケーションをとる上での大きな障害になります。手術は全身麻酔で行います。腹腔を切開し、子宮と卵巣を摘出します。術後の回復などを考慮すれば、生後6ヶ月~1歳半までに済ませることが理想です。入院期間は2~3日間です。順調であれば10日前後に抜糸をします。

去勢手術
ウサギは繁殖力が旺盛なため、雄雌を同じ環境で飼うと無計画に子供が増えます。オス同士の同居は勢力争いからケンカが絶えず、大ケガの原因になります。元気なオスは、尿のマーキング行動(スプレー)で縄張りを主張することや、強い所有権意識のためオーナーに対して攻撃的になることもあります。手術は、生後4~5ヶ月になれば可能で、全身麻酔をかけ左右の精巣を摘出します。健康状態や同居動物の状況などにもよりますが1歳までに済ませておくと良いでしょう。入院は、1~2日が一般的です。退院後の投薬や術後の管理については獣医師の指示に従って下さい。