獣医療の最近のブログ記事
階段を踏み外し指を脱臼した犬の1例 (獣医療) | 2009年08月18日11:52 |
症例・・・M・ダックス オス 8ヶ月齢 BW4.7kg クッキー
主訴・・・今日、家の階段を降りる途中に一段踏み外して転んだあと、左前肢を着地しない。
手先を触ると痛がる。
8月6日の夕方、かかりつけが今日休診ということで、M・ダックスのクッキーが来院しました。
若いM・ダックスが階段から落ちた直後、前足を痛がり着地できなくなった場合、
考えられることは、前腕骨骨折、肩あるいは肘の脱臼、捻挫(靭帯損傷)などです。
肩から触診しながら、左前肢の痛みの部位の確認を下方にずらしていきました。
すると、中手骨(手の甲)のすぐ遠位が盛り上がり、そこを触ると痛がります。
「指の脱臼かもしれない!?」
直感的に感じて、レントゲン検査を行いました。
黄疸を呈した慢性嘔吐のM・ダックス―その原因は?(獣医療) | 2009年08月07日22:58 |
昨年の9月から約1年にわたり慢性の嘔吐を繰り返していたM・ダックスが、7月31日に体重減少を伴う嘔吐を主訴に再来院しました。
症例: M・ダックス 2歳3か月齢 メス BW3.55kg BCS2 ビビ
プロフィール: H20.9月 1週間前から時々嘔吐、食欲元気あり、 BW4.02kg
血液検査:正常範囲 レントゲン検査: 胃腸内のガス量やや増加
診断: 胃腸炎
治療: 輸液、制吐剤、内服(整腸剤、胃腸粘膜保護剤)
療法食 i/d
その後、治療により症状が改善されたが、週に1~2回、あるいは月に2~3回の頻度で
嘔吐が繰り返されていた。
飼い主Yさんに異物摂取の可能性を尋ねたが、「あり得ない」と主張されるので、
造影検査は実施していなかった。
現症: 血液検査で黄疸、エコー検査で胆嚢腫大が見られました。
触らせない犬の顔の腫瘍を切除して欲しい・・・(獣医療) | 2009年07月30日09:42 |
紹介で,Uさんの飼い犬ジョーくんが初診で来院しました。
ジョーくんの左頬には、クルミ位の大きさの腫瘤ができています。
この腫瘤は半年前からでき始めていて、徐々に大きくなってきましたが
気性が荒く、確認しようとすると咬みつきにきて、触らせなかったようです。
症例: 日本犬雑種 11歳 オス BW15.3kg ジョー
現症: 左側頬部に胡桃大の腫瘤あり。 一般状態は良好
この後の切除手術に進むにあたり、血液検査が必要ですが、
問題点はジョーの気性の荒さです。身体を触ろうとすると咬みつきに来ます。
飼い主のUさんもお手上げです。
そこで、ジョーを診察台に挙げる時、
首輪に付けたリードを短めに持ち一瞬で持ち上げ、
同時に首に腕を回して頭部をしっかりロックしてしまいました。
(このテクニックは看護師の経験と勇気が不可欠です。)
そして、暴れるジョーから手際よく採血をしました。
血液検査:全項目で正常範囲
そこでUさんと相談し、1週間後に切除手術を予定しました。
犬の皮膚型リンパ腫(菌状息肉腫)の1例(獣医療) | 2009年07月26日10:11 |
犬のT細胞性皮膚型リンパ腫(菌状息肉腫)の症例を現在治療中ですので、報告します。
症例: 雑種犬 13歳 オス BW27kg ゴン太
プロフィール: ゴン太は10歳までは、狂犬病注射、フィラリア予防で来院するだけで、
病気をすることもなく、健康でした。
H19年5月・・・耳血腫手術、 BW37kgで肥満・・・・減量を指示
H21年1月・・・1ヶ月前から眼周囲、外耳道、口唇部、肢端、背中、肛門周囲など全身
に膿皮性皮膚炎が発症、 真菌培養(+)、アカラス(‐)
スタンプ検査: 炎症細胞、桿菌多数
診断: 細菌感染、真菌感染を伴ったアトピー性皮膚炎?
治療: 抗生物質、抗真菌剤,薬浴治療で軽減する
* 治療をストップすると軽減、増悪を繰り返す。
H21年6月・・・同症状が続き、難治性免疫介在性皮膚疾患、皮膚型リンパ腫を疑い、
頸部にできた結節様皮膚病変のFNAを実施しました。
モルモットの乳癌(獣医療) | 2009年07月17日10:50 |
モルモットの乳癌を2回に分けて摘出した症例をご紹介します。
症例:モルモット(イングリッシュ) 4歳8ヶ月齢 メス BW1007g パンタ
主訴: 数か月前から発生した足の付け根の腫瘤が大きくなってきた。
身体一般検査: 食欲元気あり。 一般状態良好。
触診により、左右の乳腺内に大豆大の硬結した腫瘤と
乳管内の乳汁貯留が確認された。
診断: 乳腺腫瘍
良性か悪性かの判断は組織診断が必要なため、オーナーの希望により左右の乳腺内腫瘤の 摘出手術を2回に分けて実施した。
輸血をした産後子宮出血の猫の手術例(獣医療) | 2009年07月07日14:53 |
経緯はこうです。
7月5日(日)に陰部から出血しているので、診て欲しいと猫が連れて来られました。
仕事場である事務所で面倒を見ている迷子猫で、今年の3月から飼育していました。
外出は自由です。最近、お腹が大きくなってきたので、妊娠を疑っていました。
症例: 日本猫 メス 年齢不詳(2~4歳?) BW3.12kg もも
主訴: 昨日まではお腹が大きい以外には変わりがなかった。
今朝早く、陰部の周囲、後足などが血で汚れ、陰部から血がポタポタと垂れていた。
4Fから落下し、前腕骨折した猫の手術例(獣医療) | 2009年07月04日22:58 |
7月2日来院。
主訴:夜から今朝にかけてマンション自宅4Fから落下した。
今朝、マンションの庭でうずくまっているところを発見、右前肢を跛行していた。
症例: 雑種猫 1歳1ヵ月 去勢オス BW5・9kg メル
血液検査: 落下による全身打撲からと思われるGOT、GPT、CPKの高度上昇がみられた
HCT,WBC、BUN,Cre、Gluは正常、出血なし。
レントゲン検査:
右前肢前腕骨(橈骨、尺骨)の骨折
他の骨格、内臓には著変は見られなかった。
危機一髪だったG・ハムスターの腫瘍出血(獣医療) | 2009年07月04日21:04 |
「ハムスターの頭のできものが破れて、出血が止まらないんです。診てもらえますか?」
6月18日の日も沈み、仕事を終ろうとしていた矢先、電話が入りました。
初診の方でしたが、「頭の出血」=救急と判断し、すぐ来院するよう答えました。
来院したG・ハムスターの様子を見た瞬間、息をのみました。出血がかなりひどいのです。
殆ど同じ部位に発生したフェレットの肥満細胞腫の2例(獣医療) | 2009年07月01日18:50 |
症例1・・・フェレット メス 3歳 BW1kg きさらぎ
主訴: 1ヶ月前に左後肢の踵部に血豆のようなできものができた。
気にすることはない。 FNA: 肥満細胞が多量に確認された。
症例2・・・フェレット オス 1歳3か月 BW1.2kg ルビコン
主訴: ワクチン接種時に左後肢の踵部に2mm径の腫瘤があるが、調べて欲しいとの希望あり。
気にしていない。 FNA: 肥満細胞が散見された。
治療: 症例1は5月20日、症例2は6月12日に切除手術を実施しました。
セキセイインコの後肢骨折のその後(獣医療) | 2009年06月28日11:03 |
5月27日付のプログ記事にセキセイインコのプーちゃんの骨折について掲載しました。
http://www.yamada-ah.com/blog/2009/05/post-159.html#more
プ―ちゃんのその後ですが、3日毎に検診に通院してくれました。