昨年から静岡市では、野良猫(飼主のいない猫)を増やさない為に、

獣医師会、野良猫支援グループ、静岡市動物指導センターの3者が同じ席について

対策会議を立ち上げました。

「人と猫が穏やかに暮らすための会議」といいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

第一回が10月に開催され、私もメンバーの一人として名を連ねています。

この会議の目的は、

静岡市での猫の殺処分をなくし、猫による糞尿や鳴き声などの地域でのトラブルのない、

人と猫が穏やかに暮らせる地域づくりをめざし運動をすすめることです。

 

現在、静岡市動物指導センターにおいて、年間1500頭近くの猫(9割は子猫)が殺処分

 

この問題に対して、

会議では、まず目的推進のためのガイドラインを作成し、

目的達成のための話し合いを予定しています。

 

その対策の一つとして、

獣医師会は以前より静岡市に補助金をお願いして

野良猫を対象に、不妊手術を実施してきました。

この補助金事業は、今後もこの会議の目的達成に向けての中心的事業に

なると思いますが、できれば複数の分野の有識者の意見を取り入れ

より有意義になることを目指しています。

 

動物病院で、人に慣れていない野良猫の手術をする際、

手を焼くのは、麻酔をかける時の段取りです。

抵抗し、咬みつきにくる猫を保定し、安全に麻酔導入へ進めるにはコツがあります。

当院で実施している方法の一つを

ご紹介します。                                                                                                        

                                                                                                                            

 野良猫の多くは、写真のような捕獲ケージに入れられて、来院します。  この状態のままでは安全に麻酔処置はできません。

 

 

 

のら01.jpg のら02.jpg  まず、大きめの洗濯ネットと、丈夫な麻袋を用意します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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猫を 麻袋の方へ追い込みます。

麻袋を使うのは、恐がりの猫は暗い方へは

移動したがるからです。

 

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追い込む時には、長い金属の棒などを使って

押すようにして少しずつ、猫を移動させます。

 

 

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内側に洗濯ネット、外側に麻袋をしっかりと

はめ込んで、横から逃げれないように気をつけます。

 

 

 

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猫が袋の中に移動したら、

木製のスノコを使って、蓋をします。

 

 

 

 

 

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洗濯ネットに  入ったら、素早く

ネットのチャックを閉じます。

これで、完了です。

この状態で、体重の計測(前もってネットの重さを測っておく。)

場合により、血液採取などもできます。

前処置として鎮静剤投与、

麻酔薬の投与も

スムーズにできます。

麻酔維持は、吸入麻酔で行い、不妊手術を型どおり

実施することができます。

 

野良猫(飼主のいない猫)については

耳先カットをして、

手術完了の目印にします。

今後、ガイドラインが確立することにより

地域の理解のもと、このような猫を地域猫として、

地域の支援グループが管理できる体制を整備することが

この会議の最終目標です。(TNR活動)

 

私も及ばずながら、会議を通して、

また技術提供を通して協力をしていきます。

このブログを書いていたら、

静岡新聞の1月15日の朝刊に

記事が載りました。

 

静岡市動物指導センター「TNR」不妊で野良猫対策 

「TNR」不妊で野良猫対策 静岡でモデル活動
(1/15 09:15)

 静岡市動物指導センターは飼い主のいない猫を捕獲して不妊手術をし、元いた場所に戻す「TNR活動」に乗り出した。猫の増加が問題になっている住宅地の公園で、地元自治会やボランティアと協力して取り組んでいる。担当者は「地域活動としてのモデルケースをつくりたい」とする。
 TNRは英語の「捕まえ、中性化し、元に戻す」の略。市は県内自治体では最も多い年間1500匹に及ぶ猫の殺処分を減らそうと、市獣医師会の不妊手術助成制度を支援するなど活動を奨励してきたが、持ち込んだ人の自己負担や地域の理解が壁になり広がっていない。
 今回の公園では独自にTNRを進めていたボランティアが転居し、活動の継続を断念。相談を受けた市が地元自治会の了解を得て実施を決めた。
 趣旨や捕獲の実施日などを自治会との連名で周辺地域に通知。飼い猫の保護を求めた上で、12月中旬に3日間かけ、ボランティアが確認していた二十数匹のうち14匹を捕獲、手術し公園に戻した。
 今後は餌やりやふんの始末など、放した猫の適切な管理と、新しい猫のチェックも必要になる。市内でTNRに取り組むボランティア(59)は「活動の成果は、これからの地域の管理体制にかかっている」と指摘する。市動物指導センターの小森禅所長は「地域の環境問題として取り組んでもらうきっかけになれば」とし、ボランティアの組織化を働き掛けていく方針だ。

 

不妊手術のため、猫を捕獲する市職員=昨年12月、静岡市内

 

 

有仁