日曜日の夜10:30過ぎ、
TVで映画鑑賞しながら、もう寝ようかなと・・・
突然、インタホーンがピン、ポン・・・
いやな予感
「どなたですか?」
「猫が痙攣して、死にそうなんです。診てくれませんか?」
こんな時って、正直辛いのです。
夜間に連絡してきたり、診察希望の場合に、ほんとに救急対応が必要な
ケースは、実際、1割程度なんです。
玄関に降りて、ブラインドカーテンを開けると、
Y家のチャムちゃんでした。
Yさんの腕に抱かれて、激しく痙攣しています。
ただ事ではないぞ!
すぐ、病院の照明、医療器械のスイッチを入れ、
診察室に運びました。
チャムは、瞳孔が散大し、血液混じりのよだれを出して
横たわって痙攣が続いています。
意識は昏迷しています。
「様子を聞かせてください。」
「30分前から、痙攣が始まりました。
心当たりが全くないんです。 家の中で飼っているので
外には、一歩も出ません。」
何であれ、痙攣を止めないと・・・
血管から、抗ケイレン剤を投与しました。
少し、震えが治まってきました。
血液を採取、溶血しています。
IVカテーテルを血管に留置、点滴につなぎました。
処置の最中に、また震えが強くなります。
血液分析が出ました。
痙攣の原因と思える大きな異常値は出ていません。
明らかに 急性に起こっています。
「脳障害が起こっていて、急激な発症を考えると、
強い有毒製剤を食べたかもしれません、 心当たりはありませんか?」
・観葉植物を時々口にすることがあります。
・動物用消臭剤はよく使います。
でも、ここまで激しい中毒症状になるとは思えない。
原因は? 藪の中か。
症状は深刻であり、
短時間内に致命的になることも予想されました。
「今晩もつか判りませんが、
入院させて治療を続けましょう。」
翌朝、 その後の脳圧を下げる治療や
何種類かの抗ケイレン剤の効果があり、
大きな痙攣は治まりました。
けれど、脳神経と身体を動かす神経にまだ麻痺があり、
瞳孔はまだ散大し、身体を起こすことができません。
点滴による継続した治療をする中、
夕方に、Yさん親子が、面会にいらっしゃいました。
そして、かわいいお嬢ちゃんがお見舞いの絵を描いて
持ってきてくれました。
その絵の願いがチャムちゃんに届くように
入院ケージに貼りました。
お嬢ちゃんの思い
届きますように!!
頑張るパワーを送ってほしい・・・
お嬢ちゃんの願いが通じたのか
次の日には上半身を起こせるようになりました。
けれど、下半身の麻痺はまだ残っていて
排尿はカテーテルで抜いています。
口にフードを入れてあげると
飲み込むようにもなりました。
でも、中毒の原因が特定できない以上
予断は許せません。
お嬢ちゃんの願いのパワーが
チャムちゃんの回復を呼び起こしてくれるよう
願っています。
頑張れ!チャム。
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