私が開業した1980年代は、犬が骨折するのは
やっぱり交通事故が一番多くて、ピンやワイヤーを使った固定手術が主流でした。
最近は、住宅街だけでなく、郊外でも室内飼いが多いので、犬の交通事故はかなり
減っています。
当然、激しい事故損傷や、重度の骨折事例を経験することは、少なくなりました。
その反面、超小型犬の室内での骨折が増えました。
最近のケースを紹介すると
一人住まいの独身の男性が、トイ・プードルを飼い始めました。
(こういったケース、結構増えています。)
今年の5月で生後8カ月齢になりました。
仕事から、帰ってきて、しばしの再会の大はしゃぎ、
(昼間は同居犬のチワワと一緒だけど、それでも寂しいので・・・)
はしゃぎ過ぎてしまって、テーブルの上に乗ってしまいました。
ご主人様は、躾け上、これは注意しなければと、
「こら、駄目だよ!!」
と、手で何気なく払いました。
瞬間、テーブル(高さ80cm程)から
すってんころりん、
「キャン、キャン、キャン!」
尋常ではない泣き声です。
右前肢は、ぶらぶらになってしまいました。
時間外でしたが、
電話が入り、 緊急で診察することに。
撮影したレントゲンが、下の写真です。
体重は2.1kgの前足。
肘から下の骨(前腕骨)の2本が真中から
ボッキリ折れていました。
骨の太さは幅が5mm、厚さは3mmでした。
細い、細い骨だけど
この折れ方なら
プレートとスクリューを使って固定できそう。
とても忙しい頃だったけれど、
2日後に手術しました。
横浜メディカルというメーカーの
6穴プレートを使用、
スクリューは1.5mmを2本と、2mmを4本
使いました。
(結構、優れものです。)
我ながら、なかなかの出来栄えです。
この、トイ・プードル(はなちゃん)は3日後には
足を着地して、歩きだしてくれました。
細い骨なので、骨髄の量が少なく
骨そのものが癒合するには
2か月位かかるけれど
うまくいくはず。
トイ腫のワンちゃん達を飼っている皆さん、
災難はいつ起こるか判りません。
他人ごとではないので、くれぐれも気を付けてくださいね。
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