私が開業した1980年代は、犬が骨折するのは

やっぱり交通事故が一番多くて、ピンやワイヤーを使った固定手術が主流でした。

最近は、住宅街だけでなく、郊外でも室内飼いが多いので、犬の交通事故はかなり

減っています。

当然、激しい事故損傷や、重度の骨折事例を経験することは、少なくなりました。

 

その反面、超小型犬の室内での骨折が増えました。

 

最近のケースを紹介すると

一人住まいの独身の男性が、トイ・プードルを飼い始めました。

 

(こういったケース、結構増えています。)

今年の5月で生後8カ月齢になりました。

仕事から、帰ってきて、しばしの再会の大はしゃぎ、

(昼間は同居犬のチワワと一緒だけど、それでも寂しいので・・・)

はしゃぎ過ぎてしまって、テーブルの上に乗ってしまいました。

 

ご主人様は、躾け上、これは注意しなければと、

「こら、駄目だよ!!」

と、手で何気なく払いました。

瞬間、テーブル(高さ80cm程)から

すってんころりん、

「キャン、キャン、キャン!」

尋常ではない泣き声です。

右前肢は、ぶらぶらになってしまいました。

 

時間外でしたが、

電話が入り、 緊急で診察することに。

 

撮影したレントゲンが、下の写真です。

 

 

pict-ハナAP骨折237102_110520_UP_EXM_0498_CL76727745.jpg

 

 

体重は2.1kgの前足。

肘から下の骨(前腕骨)の2本が真中から

ボッキリ折れていました。

骨の太さは幅が5mm、厚さは3mmでした。

 

 

 

細い、細い骨だけど

この折れ方なら

プレートとスクリューを使って固定できそう。

 

 

とても忙しい頃だったけれど、

2日後に手術しました。

 

 

 

pict-ハナラテ整復後237102_110523_UP_EXM_0500_CL76727745.jpg

 

 

 

横浜メディカルというメーカーの

6穴プレートを使用、

スクリューは1.5mmを2本と、2mmを4本

使いました。

(結構、優れものです。)

 

我ながら、なかなかの出来栄えです。

 

この、トイ・プードル(はなちゃん)は3日後には

足を着地して、歩きだしてくれました。

 

細い骨なので、骨髄の量が少なく

骨そのものが癒合するには

2か月位かかるけれど

うまくいくはず。

 

トイ腫のワンちゃん達を飼っている皆さん、

災難はいつ起こるか判りません。

他人ごとではないので、くれぐれも気を付けてくださいね。