6月に実施したヨークシャーテリアの膝蓋骨脱臼の整復手術の
症例を紹介します。
ヨーキーのももちゃんは、もうすぐ8歳になる女の子。
郊外に住んでいるのですが、
5月のGWに急に左足を痛がるようになり、
当番医に診てもらいました。
「膝蓋骨脱臼」の診断を受け、痛み止めの注射と鎮痛剤をもらいました。
2週間を経過しても、足をかばう様子は変わりません。
最初に診てもらった病院で再診の結果、外科手術を勧められました。
悩んだ末,Sオピニオンで当院に相談にみえたのです。
当院での診断では、
左の膝蓋骨内方脱臼グレード3/4、
右では グレード 2/4 でした。
外科手術の効果、予後について、内科保存療法との比較を説明して
最終的には飼主に決めてもらうことにしました。
1週間、迷った結果、
飼主のSさんは手術を選択することにしました。
写真の右側が左後肢ですが、
膝蓋骨が内側に外れているのが
判ります。
グレード3/4の脱臼(手で整復可能だが、
常に脱臼している)なので、
滑車溝の造溝と、
脛骨結節転移術を併用することにしました。
左後肢の膝の周囲の毛を刈りました。
膝の皮膚を切開しました。
外側の膝蓋靭帯と関節包を切開し、
関節を露出します。
露出した大腿骨滑車溝をドリルで
削溝します。
膝蓋骨がしっかりと納まるように
充分な幅で造溝しました。
脛骨結節に骨ノミを入れて
底部を遊離させた後
外側に転移させます。
転移させた位置で、細いスクリューピンを
くさびとして打ち込みます。
1本では不十分なので
2本目を打ち込みました。
2本をくさびで打ち込み、
膝蓋骨の定位置での安定性が
出ました。
外側膝蓋支帯の縫縮術を行いました。
このあと、内側の関節包の解離をして、
内側への引っ張りのテンションをゆるめました。
皮膚を縫合して、
手術は終了です。
少しの期間(5日間)、膝の可動性を
制限するために、外固定をしました。
術後のレントゲンです。
膝蓋骨は、正常の位置に整復されています。
2本打ち込んだスクリューピンが脛骨結節部分
に確認できます。
ももちゃんは
翌日から、普通に食事もして、手術した足をつき始めました。
トーマスプリントの固定は3日目には外して
ベトラップで穏やかな固定に切り替えました。
今後は膝蓋骨の安定が継続していくよう 見守っていくことになります。
2週間後、抜糸の為に来院したモモちゃん。
足の状態も良好、
すっかり普通に歩いています。
得意げに
カメラ目線です。
今日は、抜糸も終わり、
カラーもはずれて、
すっきりして帰れるよね。
この記事へのコメント