1歳と若いにも拘らず、不正咬合があるウサギが

下顎がぽっこり晴れてきたという主訴で来院しました。

 

症例: ウサギ(ロップイヤー) メス 1歳 BW2.35kg キチ

 

診察すると、右下顎臼歯の歯根から発生した膿瘍でした。

下顎骨膜に固着していますが、可動性があり、膿瘍毎摘出できそうです。

 

 そこで、飼い主のTさんと相談し、摘出手術をすることにしました。

 

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鎮静剤で前処置後、

麻酔BOXで導入します。

 

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良好な麻酔状態になったところで

フェイスマスクに切り替えて

イソフルレン麻酔で維持します。

下顎の毛を刈ると

球形に腫大した膿瘍が確認できます。

 

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滅菌ドレープで覆いました。

 

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皮膚を切開します。 

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膿瘍の壁を破らないように

周囲組織を鈍性に、あるいは鋭性に

剥離していきます。 

 

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下顎の骨膜に達したところで

骨膜を剥がしながら

膿瘍全部を摘出します。

 

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膿瘍を破ることなく

摘出することができました。 

 

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 摘出後の様子です。

下顎の骨膜を削った跡が

洞穴のように見えます。

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皮膚をナイロン糸で縫合して

手術は終わりました。

 

このように、膿瘍を破ることなく摘出できれば

術後は良好で

再発することもほぼありません。

 

ウサギは、犬、猫のように

膿瘍を破って排膿させ、消毒することで

治れば良いのですが、

この方法では、多くは完治せず、直ぐに

再膿瘍化します。

今回のように、膿瘍そのものを

摘出することが、根治の道です。

 

キチちゃんもその後、

すっかり元気を取り戻し、

再発は起こっていません。