フクロモモンガの去勢の依頼を受けました。
飼い主のSさんから電話があり、オス、メス2匹を飼育していたら
子供が出来てしまい、
これ以上増やしたくないというのが理由でした。
フクロモモンガの去勢の依頼は今回初めてでしたが・・・
陰嚢の位置と形状は独特ですが
手術において特に問題はないので、
手術をお受けし、実施しました。
フクロモモンガは
最近、診察する機会が増え始めえいます。
オーストラリア、インドネシアなどに棲息し、
離乳期の頃から飼育すると人にもよく慣れるので、
目が大きく可愛らしい風貌をしていることもあり、
人気が出てきて、輸入頭数が急増しているのでしょう。
詳しくは以下のサイトがあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%A2%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%AC
さて、手術ですが
一般状態に変わりないことを
確認し、
麻酔BOXを使い
イソフルレン麻酔で導入 しました。
麻酔状態に入ったことを
確認し、
小動物用マスクに切り替えました。
特徴である飛膜がわかります。
これがフクロモモンガの陰嚢です。
ペニスより頭側、臍に近い位置に
あるのが特徴です。
手術部位の毛を刈っています。
手術部位を有窓布で覆いました。
皮膚を切開し、
精巣へ走っている精管と血管を
4-0針付シルク糸で二重結紮しました。
切り取る両側精巣側には
モスキート鉗子で鉗圧します。
出血させることなく
両側精巣を一緒に
切り取ることができました。
皮膚は糸で縫合すると
舐めて切り取ってしまう
ことがあるので、
外科用ペットボンドで
接着させました。
術後は十分に
酸素を吸入させ
覚醒はスムーズでした。
覚醒後は
何事もなかったように
通常の動きに戻りました。
手術部を舐めることもありませんでした。
その後の経過も問題なく
20日後に飼い主のSさんから電話で連絡があり
術部を齧ることも全くなく
傷も判らなくなって
元気一杯とのことでした。
うちの子の陰嚢?から何か出てきていてしぼんでいます。
中の物が出てきているんです。
臭いもすごいです。病気ですか??
ご心配ですね。
もし、それが陰嚢ならば、生理的に陰嚢(袋)そのものから分泌物が出ることはありませんから、感染症による膿の可能性があります。
早めの診察をお勧めします。 有仁