震災から18日が経過し、
福島原発の放射線漏れが依然心配な状況ですが、
被災地ではライフラインの復旧、生活支援物資の搬送など
徐々に復興が始まっているようです。
その中で、動物達の救護に関わる情報も入るようになりました。
獣医師の仲間同士のメールチェーンで
岩手の先生が今の現場の状況を報告してくれました。
東日本大震災 ~沿岸地方(宮古、山田、大浦)を視察して~
3月11日の地震発生・大津波による被災から2週間、遅ればせながら現地を視察する機会がありました。
3月27日早朝、救援物資としてペットフードやおやつ1トンを積み盛岡を出発、途中吹雪と凍結道路と闘いながら宮古市の拠点動物病院に10:30到着しました。
盛岡から吉田園子先生、小田島商事佐々木さん(運転手)と私の3人で同乗し、現地でグリーン動物病院院長の田口先生御夫妻と動物愛護団体のワンコの会、MAPフレンズの皆様と合流し、宮古小学校、山田高校、大浦漁村の各避難所を視察しました。
津波が襲った地域は壊滅的で、町は消失し瓦礫の山となっていました。建物は残ったが浸水した地域も、使えなくなった家具や電化製品、寝具等が道路に沿って積み上げられ異様な光景でした。
人と一緒に避難した動物は命があったものの、水没した地域ではほとんど死亡したと推定されます。被災に合われた方の話によると、震災の翌日犬や猫の死骸があちこちに浮いていたそうです。
避難所にいた犬も、まだ家がある方は自宅に連れ帰り、世話だけをしに帰っている飼主さんも多くあるということでした。私たちが訪問した際に外につながれている犬は皆無でした。室内犬では、避難所で一緒に生活をしている犬もいて、周囲の人たちのアイドルになっている犬も見受けられ、アニマルセラピーを実践されていました。
一方で、動物が苦手という方々も同居されていますので、肩身の狭い思いをされている飼主さんもいらっしゃいました。
現状まとめ
被災した動物を大きく分けると
①震災当時に死亡した=津波が襲った地域の動物は人と同様ほぼ全滅状態。
②一緒に逃げ、飼主さんと一緒に避難所で生活を共にしている。=室内犬に限る。
③一緒に逃げ、動物だけは自宅に置き、世話をしに帰っている。=ライフラインが回復、あるいは清掃のため日中帰宅されている方の動物は自宅に帰っているケースも多くなって来ている。
④一緒に逃げ、知人や親戚宅に預かってもらっている。
現時点では、一次的な救護活動は必要なく、次の段階に入っていると思われます。
(怪我や病気で困っている方はいませんでした。シャンプーや普段の手入れが出来ず体が匂う・痒がるなどの訴えはありました。=他の人に気を使ってしまう)
今後の取り組みとして、何ができるか?何をしなければならないか?
宮古地区だけでも、100ヶ所ほどある避難所を全て廻ることは不可能であるし、その必要もないと考えます。
各地区の拠点動物病院を充実支援する事、中心になる避難所や振興局に、ペットフードや猫のトイレ・砂、ペットシーツ等をストックしておき、必要な方に対して各避難所に届ける。あるいは、取りに来て頂く方法で行きわたらせる方が現実的と考えられます。
拠点になる病院がしっかりと機能していることが重要で、そのサポートをしていく必要性は大いにあると思われました。
動物の管理については・・・(全般的に)
普段から動物の健康を良い状態に保っておく事が重要である。
特に皮膚病や寄生虫など病気がないこと、予防できる病気は予防していること。
狂犬病・混合ワクチンなど必要なワクチン注射を実施しておくことは最低でもしておかなければなりません。
トイレのしつけをしておくこと。また、ケージレストが出来るなどのしつけがきちんと出来ている事、そして色々な食事に慣らしておくと、共同生活が出来ますし、いざとなれば人に預けることも可能です。
犬では登録を行い、鑑札を付けていると、被災の際飼主さんの元に帰りやすいし、マイクロチップを接種しておけば、万一の場合でも帰って来る事が出来ます。
特にマイクロチップ普及の必要性を感じました。
動物も家族の一員である事が再認識され、動物が心の支えになっている飼主さんには出来るだけフォローしてあげたいと思います。
今後は、動物病院・愛護団体などネットワークを最大限生かし、一時預かりや里親探しなどを始め、幅広い支援を行っていかなければなりません。
動物のために何かが出来るという事より、もっと広い視野で人のために何か役立てる事をしていく事が重要で、獣医師の立場で、また個人として、今何が出来るのか考えて行く必要があると思います。
2011年3月28日 山手寛嗣
神戸の震災時の時との違いは
津波が、一瞬のうちに
多くの動物達の命を奪ってしまったということです。
飼主と共に逃げることができた
ペットだけが生き残り、
人と同様の救護が必要のようです。
一刻も早く、避難所の全てに救援物資が
届くことを願っています。 有仁
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