ミニチュア・ダックスのジャムが来院しました。
症例: M・ダックス オス 7歳 BW6.6kg ジャム
主訴: 2~3日前から朝の食事の量が減った。なんとなく年取った感じがする。
一般身体検査: 触診で腹部中央に硬結感のある腫瘤を触知しました。
そこで、レントゲン検査、血液検査を実施しました。
血液検査: WBC(白血球数) 28500と上昇、その他の項目では著変なし。
レントゲン検査:
側面像において、肝臓の尾側に卵型の腫瘤が確認されます。
脾臓のエリアであり、脾臓から発生している腫瘤と思われます。
診断: 脾臓の腫瘤・・・脾腫、腫瘍 etc
治療プラン: 開腹術による脾臓摘出
飼主のKさんと相談し、翌日手術を実施しました。
術前のジャムです。
昨日から点滴を行い、脱水は補正されています。
麻酔が導入され、気管チューブが挿菅されました。
尿道カテーテルも留置しておきます。
切開部周囲はドレープで被われました。
皮下、皮下織の切開です。
腹壁を開くと、淡黄色の不整形に腫大した脾臓の腫瘤部分が顔を出しました。
脾臓を全部露出しました。
左側のあずき色の部分が本来の脾臓の色合いです。
腫瘤部分は硬結し大小の固まりを形成しています。
脾臓につながっている血管(短胃動静脈、左胃大網動静脈、脾動静脈)を結紮します。
腫瘤を切り離すことができました。
腹腔洗浄をしています。
腹壁の縫合。
皮膚の縫合を終了しました。
手術直後のジャムの様子です。
まだ覚醒していません。
摘出した腫瘤は脾臓本来の組織構造が消失し、切開すると、充実性の腫瘍組織で満たされています。
術後3日目のジャムちゃんです。
術後翌日から食欲は回復し、極めて良好な経過をたどっています。
脾臓腫瘤は現在、病理検査中です。
診断については後日報告します。
我が家のダックスも本日、緊急入院致しまして、どうもジャム君と同じ癌のようです。参考までにジャム君は今、元気になりましたか?
コメントありがとうございます。
ジャムの脾臓の腫瘍は悪性腫瘍病変である線維肉腫でした。
脾臓表面の被膜を越えて腸間膜脂肪織へ直接浸潤していたので、腹腔内に転移している可能性がありました。
その後比較的順調でしたが、170日後歩行ができなくなり、検査の結果
腰椎に腫瘍が転移し、転移腫瘍による腰椎骨折が判明しました。
痛みが強く出てきたので鎮痛剤で対応しましたが、1週間後旅立ちました。
亀吉さんの家のダックスちゃんもご心配だと思います。
ただ、腫瘍やガンの予後や進行度は、個体差があります。
情報ばかりが独り歩きし過ぎるのも適切な管理の弊害になることがあります。担当の先生の説明をまずはしっかり聞いて、今後の対応を相談することが大切だと思います。