他院にて膀胱結石と診断されたポメラニアンが、手術の必要性の相談のため来院しました。
症例: ポメラニアン メス 10歳4ヶ月齢 BW5.2kg ポメちゃん
レントゲン検査を行いました。
膀胱内に2個の結石が確認されました。
大きい結石の最大径が2.1㎝
小さい結石の最大径が1.2㎝ でした。
輪郭からストルバイト結石が疑われ、小さいサイズなら療法食の徹底で溶解する可能性もありますが、この大きさでは経験的に困難だろうと思われました。
そこで、早期解決のために外科的摘出が早道であることをアドバイスしました。
飼い主のNご夫妻にとってポメちゃんはわが子のような大切な存在で、
お腹を切るような痛い思いはできるだけさせたくない気持ちが強いようでした。
この日は手術の決断ができず、検討することになりました。
ところが5日後、頻尿が始まり血尿になりました。トイレに座り込み、最後は殆ど鮮血とのことでした。
ポメちゃんの辛そうな症状を見てこの日に手術を決断し、その2日後、膀胱切開による結石摘出術を実施しました。
麻酔導入後、手術台に寝かされたポメちゃんです。
イソフルレン麻酔で手術中は維持します。
皮膚切開部位にドレープをかけました。
皮膚は電気メスで膀胱直下を切開します。
露出した膀胱の血管の少ない部位を、電気メスの細針で切開します。
一つ目の結石を取りだすところです。
二つ目の結石も取り出しました。
細かい小さな結石がないかどうか膀胱内を十分確認して、
膀胱内洗浄を行った上で、縫合をします。
膀胱を吸収性縫合糸で縫合していきます。
今回の場合はPDSⅡを使っています。
膀胱の縫合が終了しました。
腹壁、皮膚を型通り縫合して、手術は終了しました。
終了直後のポメちゃんの様子です。
鎮痛剤を使っているので、まだ目が覚めていません。
気管チューブも入ったままです。
摘出した結石は形状的にストルバイト結石と思われましたが、
成分分析を検査センターに依頼しました。
今後の食事管理を左右するデータとして必要となるからです。
ポメちゃんの術後は順調に回復し、目立った血尿もなく良好な経過をたどりました。
飼い主のN夫婦もほっとして無事にお正月を迎えられそうです。
術後の検診時のポメちゃんです。
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