皮膚病のモルモットが来院しました。
症例: モルモット(アビシニアン) オス 2歳10ヵ月齢 BW947g モン
主訴: P.ショップで購入時から毛が薄く、時々身体を掻いていた
9月頃から痒みが強くなる。 食欲低下
身体一般検査: 脱毛、鱗屑、痂皮、紅班、潰瘍 が見られる
皮膚病のステージは重度で、脱毛が激しいため肥厚した皮膚が露出し、
長期にわたる皮膚疾患が疑われました。
皮膚スタンプ検査:
セロハンテープで鱗屑が多い部分のフケを6か所採取しました。
診断: ショウセンコウヒゼンダニ(疥癬)感染症
おそらく、購入時から感染があったと思われ、2年間以上モンちゃんを悩ませていたと
思われました。
(カラーアトラス:犬と猫の寄生虫図鑑 インターズー より)
皮膚に穿孔して、痂皮をともなう皮膚炎を起こし、激しい掻痒を伴います。
治療: イベルメクチンを1週間間隔で皮下投与。
抗生剤の内服
ティーツリーオイルの局所塗布。
3週目にはかなり痒みが少なくなりました。
食欲元気も回復してきました。
モルモットらしいしっかりとした毛に被われるのが待ち遠しいです。
3週目の皮膚の様子です。
鱗屑が少なくなり、被毛も生えてきました。
5週目です。
鱗屑は殆どなくなり、皮膚が見えなくなるほど被毛が増えました。
6週目です。
毛はふさふさになってきました。
写真のパチリ!!に目をつぶってしまったモンちゃんです。
痒みもなくなり、快適に毎日を暮らしているようです。
初めまして。関東で1歳半のモルモット♂を飼っている者です。ティートゥリーの使用について質問したいのですが、よろしいでしょうか?
1ヶ月前からモルの足裏の腫れ(細菌性)が気になり、病院でビクタスという塗り薬を処方されました。
先生に、もしそれで腫れが引かなければティートゥリーの液体の塗り薬を長期使用してみましょうと言われました。
しかし、精油は犬以外の猫や小動物には、代謝機能が特殊なため、肝臓でうまく代謝できずに、毒になってしまうと聞きます。
このブログを拝見しまして、
皮膚病のモルモットにティートゥリーオイルを塗布して治療したとありましたが、ティートゥリーはモルモットに使用して安全なのでしょうか?
もしそうであればかかりつけの病院で処方してもらおうと思うのですが、回答頂ければ助かります。宜しくお願い致します。
この症例で使用したティーツリーオイルはメディカルAといって
動物医療用に製品化されているものです。
精油は確かに肝臓でグルクロン酸抱合ができない猫やフェレット、またエビデンスがないE・ペットでは、慎重に使用すべきですが、このメディカルAは猫にも使用され、多くの治療効果が報告されています。
外用薬を動物に使用するときは、何であれ、舐めることの影響を十分注意する必要があります。
今回使用した部位は背中の引っ掻き傷がある局所部位です。
あまり舐めれられない部分と判断して使用しました。
本来、舐めることを想定しない薬品については、使用部位によっては慎重に考えるべきでしょう。
足底皮膚炎に対して、もしメディカルAを使用するなら、極めて少量に留めると思います。
最も優先すべき治療は物理的刺激を極力減らすために、敷きわらなどを使い、足底の負担を可能な限り減らすことだと思います。
有仁
回答ありがとうございます。
私が使用したい部位は足裏で、舐める可能性が高いです。
今は先生のおっしゃるように足裏の刺激を減らす工夫をしたいと思います。
ありがとうございました。