神経節異常が原因と思われる巨大結腸症(重度の便秘)の猫が来院しました。
オーナーと相談の上、結腸部分切除術を行いました。
症例: 雑種猫 オス(去勢) 9歳7カ月 BW5・5kg ミルク
主訴: 1か月前から排便時にいきむ。
食欲が落ち、体重も最近減ったようだ。
身体一般検査: 触診で硬結し巨大化した宿糞を確認。
血液検査:著変なし。
レントゲン検査: 骨盤腔径より拡大した宿糞が後腹部を占拠している。
応急処置: 全身麻酔下で、グリセリン注入で柔らかくした糞塊を
採便鉗子を使用して崩しながら2回に分けて取りだした。
飼い主Oさんとの相談結果:
すでに結腸は巨大化しているので、溜った便を応急的に取りだしても、再び便秘は繰り返されます。そこで、
1、便秘薬の投与と共に応急的排便処置を繰り返す。
2、巨大化した結腸を外科的切除する。
の2つの選択を飼い主0さんに提示しました。
0さんは熟考した上で、2の外科的切除を選択しました。
下腹部正中を尾側は恥骨中央まで長めに切皮します。
巨大拡張した結腸が出てきました。
糞塊は術前に取りだしましたが、まだかなり残っています。
近位は回盲腸部より5㎝、遠位は恥骨前縁より頭側3㎝の位置に腸鉗子をかけます。
切除した結腸です。
結腸切除後の切断面を縫合します。
縫合は吸収性のモノフィラメント縫合糸を使用します。
端端縫合を終えて、縫合部を腹腔内に収めるところです。
結腸切除し端端縫合を終えたら腹腔を大量の生食水で洗浄します。
その後は型通り閉腹します。
腹壁を縫合し終えました。
皮膚も型通り縫合して手術は完了しました。
術後の経過は大変順調で、2日目から水分、3日目からは流動食を与えました。
4日目以降はセレクト缶を70%量、7日目には100%量を給餌しました。
ミルクは術部の違和感もないようで、食欲も旺盛です。
5日目に形がある軟便をしました。
0さんの希望と十分な術後監視の意味で1週間入院しましたが、
帰宅後も全く問題なく、排便もスムーズ、食欲元気も旺盛、
快調そのもののミルクです。
この記事へのコメント