4年半前に当院で尿道閉塞の治療のため「会陰尿道造瘻術」の手術を実施した猫が3年半ぶりに来院しました。(仕事の関係で東京に一時転居していたとのことでした。)
症例: 日本猫 去勢オス 8歳 BW7.2kg ミー
病歴: H17年3月 尿道閉塞治療のため会陰尿道造瘻術実施→その後良好
「3日前から、トイレに行く回数が増えた」ことが来院理由でした。
手術をした尿道口を確認すると、狭窄を起こしていました。
4年前の手術後、術部の皮膚が徐々に瘢痕収縮して、大きく開けた開口部が狭窄したのです。
ミーちゃんはやや神経質で4年前の手術後の入院中にかなり暴れて、留置カテーテルを取ってしまった経緯がありました。この為、術部の縫合部の癒合が炎症により遅れてしまったことが記録に残っていました。これが瘢痕収縮の原因と思われました。
この手術の10%位にこのような瘢痕収縮による狭窄が起こります。
早速、狭窄部を広げる手術を実施しました。
一見すると開口部がどこか判らない程でした。
この写真は手術前の準備の時の毛を刈っている状況で、トムキャットカテーテルが入るのが
やっとです。
手術準備完了で、
尿道に挿入されたトムキャットカテーテルにはキャップがされています。
狭窄した尿道の周囲の皮膚を四角く切開し、皮膚を切り取ります。
切り取った皮膚の下に尿道粘膜が見えますので、丁寧に鈍性剥離して尿道口を
広げます。
この作業の結果10Fのロブネルカテーテルが挿入できました。
トムキャットカテーテルの約3倍の太さです。
尿道と切り取った皮膚の辺縁を4か所縫合します。
これで、尿道の再建術は終了です。
ロブネルカテーテルを皮膚に縫い付けて留置します。
ここが尿や糞で汚染されないよう入院中は細心の注意を払います。
ミーはこの後、10日入院して抜糸を終了しました。
今回は留置カテーテルの長さや排便後の消毒管理を厳密にしたことと、
ミーも入院中比較的おとなしくしてくれたので術部のトラブルもなく、
癒合は良好です。
2週間後、検診に来院しましたが、10Fのカテーテルが入る開口部は確保されていて、
排尿も気持ちできているとのことでした。
まずは一件落着ととなりました。
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