9歳半のウサギの皮膚腫瘍摘出を行いました。(8月26日)
5歳の頃から、当院がかかりつけです。
6歳時、血液検査で腎機能障害、高血糖症で入院、点滴処置を受けました。
その後、時々胃腸運動機能障害(食帯)を起こし、治療を受けていました。
症例:
ドワーフウサギ 9歳半 メス BW2.5kg モモ
主訴:
3ヶ月前から背中に小さなしこりを見つける。
最近、かなり大きくなってきた。
腫瘤の細胞診: 腫瘍性か炎症性かの鑑別の為に
針生検をしました。
多角形上皮細胞が塊状に塗抹されています。
細胞質は類円形からやや多形で輪郭は明瞭。
異型度は低いようです。
一部に索状に配列されている部分が観察されます。
診断: 上皮系?皮膚腫瘍
腫瘍であることを説明し、飼い主Kさんの希望もあり、摘出手術を実施しました。
術前の血液検査:
PCV 35.5% WBC 5500 PLT 186000
Glu 165 BUN 9 Cre 1.3
GOT 10 GPT 27 T-Bil 0.2 T-Pro 4・9 Alb 4.4
結果・・・血液検査は正常レベル
モモはとても温和な性格のウサギで、昔から病院に通院していることもあり、
病院の環境に慣れています。
そこで、鎮痛剤を主体にした軽い前処置を施し(規定の半量)、
麻酔BOXでイソフルレン麻酔により、導入しました。
左側脇腹に胡桃大の腫瘍があり、周囲を毛刈りしました。
ドレープをかけ、手術開始です。
周囲組織に切開を加え、丁寧に切除していきます。
全部、切り取ることができました。
縫合はマットレスと結節縫合を組み合わせて閉鎖しました。
術後のももちゃん。
麻酔から覚醒したあと、1時間後には野菜をいつものように食べていました。
病理組織学的診断:
基底細胞腫
上皮性の良性腫瘍性病変が認められました。
腫瘍境界は明瞭で完全に切り取られ、悪性所見はありません。
腫瘤内部には膠原線維性結合織で囲まれた小結節状の増生巣が形成され、柵状の配列や小胞巣を形成して増生する腫瘍細胞は、ほぼ均一な大きさの細胞で、
核小体明瞭ですが均一な卵円形核が細胞の中央に位置して、細胞異型性は軽度です。
コメント:
良性の腫瘍で、飼い主のKさんもホッとされました。
9歳と高齢になったモモちゃんですが、
とてもフレンドリーで病院でも人気者です。
長寿ウサギでびっくりされる位長生きできるよう祈っています。
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