症例・・・セキセイインコ  7ヶ月齢 メス Bw33.6g  ルー

プロフィール・・・4週齢でホームセンターより購入 (鳥を飼うのは初めて)

          一羽飼い、 手乗り、

         餌-ムキ餌 青菜

         昼間は仕事で留守、帰宅後20:00~22:00頃まで室内に放して遊ばせる。.

 

主訴: 昨夜、3回嘔吐した。首を振って吐物をまき散らした。 

     食欲あり? 元気やや低下。今日は吐いていない。

 

 

 

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一般身体検査・・・外観上異常を認めず。

検便・・・メガバクテリア(+)

 

 

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400倍の顕微鏡写真です。中央に細長い棍棒状に見えるのが細胞壁の厚いタイプのメガバクテリアです。

 

メガバクテリア症:

メガバクテリアは、「Mega」、「Bacteria」、つまり大きな菌という通称名です。この有機体は以前より確認されていましたが、同定が困難でした。しかし、近年、研究が進み、この有機体には核があり、真菌に類似した細胞壁を持ち、その細胞壁にはキチンを含み、リボゾームRNAも持っていることから、真菌であると実証されました。

そしてPCRによる遺伝子解析から、メガバクテリアは酵母の一種で、以前にはない新しい種類であり、子嚢菌に分類し、学名をMacrorhabdus ornithogasterとすることが提案されています。

鳥の胃の中に住む酵母であることから、AGY(Avian Gastric Yeast)とも呼ばれています。

感染部位は胃であり、特に中間帯周囲に感染し、重度の胃炎や胃拡張を起こします。

 

ルーの治療: 

 抗真菌剤(アムホテシリンB)          餌・・・皮付餌の変更 

 抗生物質(アモキシシリン)           早寝(20:00までに就寝させること)

 胃炎消化性潰瘍治療剤(アスコンプ)     膨らんでいれば暖房を指示

 総合ビタミン剤

 

コメント: 今回の嘔吐がメガバクテリアが原因であるとの確証はありません。室内に放鳥した時に何かを口にした可能性もあり、それを含めた治療を実施しました。

 

 

 

近年、セキセイインコに広く蔓延していて、特に幼若鳥の被害が増加しています。感染する鳥類は多く、コザクラ、ボタン、オカメ、文鳥、キンカチョウ、カナリアなどにも認められます。

軽度な感染では無症状ですが、感染が進行し、胃炎が引き起こされると嘔吐、吐き気が出ます。吐き気が強い場合は、粘調性のある胃液を出すため、頭部周囲に付着し、羽毛は逆立ちます。幼鳥では重度になると、死亡するケースもあります。

また、下痢や胃出血による黒色便、筋胃機能不全による完穀便(穀粒が糞便中に含まれる状態)も見られます。