症例・・・シマリス メス 40日齢 Bw 47.4g ムギ
主訴・・・昨日、名古屋のペットショップで購入してきた。ショップでもらったミルクを与えているが
あまり飲まず。
今日、くしゃみを何度もしている。
身体一般検査・・・BCS 3 外観上では異常は認めず。
聴診において、鼻腔からの呼吸音がプツプツと聞こえる。
糞便検査・・・コクシジウムオーシスト(+)
診断: 若齢シマリスの輸送ストレス性感染性?呼吸器疾患
コクシジウム感染症
糞便検査では、写真のようにコクシジウムオーシストが寄生していました。
* ペットショップで購入した若齢シマリスの知識について
春が近づくと、ペットショップにシマリスの子が店頭に並ぶようになります。
殆どが中国や朝鮮半島からの輸入個体です。原産地の繁殖場で捕獲する時に行われるいぶり出しや、大量に輸送されてくる間に、様々な感染症やストレスによる衰弱が起こるだろうと想像されます。
生き残った子リスが店頭に並ぶという訳です。感染症の原因菌は報告によればクレブシェラ菌、連鎖球菌などです。当院ではサルモネラ菌が検出されたこともありました。
また、消化管内感染症では、コクシジウム、ジアルジアも多く経験します。
治療: 抗生物質(ゲンタマイシン)によるネブライジング吸入療法
呼吸器疾患の為、抗生剤を吸入させます。
サルファ剤シロップ、クロマイシロップの経口投与(コクシジウム、全身性感染症への対応)
経過: 3日後の再診では、食欲が出始め、動きも活発になってきたとのことでした。
コメント: 若齢シマリスの知識でも記載しましたが、日本のペットショップで販売されるシマリスは殆どが中国を中心にしたアジアからの輸入です。大量に輸入されてくる過程で、大きなストレスと感染を余儀なくされます。この背景を踏まえながら冷静な目で判断し、購入するかどうかを決めましょう。
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