症例・・・オカメインコ オス 1歳  Bw 93g   ユウ

主訴・・・今朝まで、食欲元気あり。何の異常もみられなかったが、午前中、留守をして帰宅すると、

     じっとして動かず、様子がおかしい。

飼育環境: 室内自由飼育。室内の様々なものを齧っている。

糞便検査: 緑色便

       その他は正常範囲

誤食の可能性が考えられたので、レントゲン検査を実施しました。  

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レントゲン検査所見: そ嚢内に金属片と思われる不透過性異物が認められた。

筋胃内のグリット量は多く、グリットの中にも細かい数個の金属片が見られた。

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背腹像においても、そ嚢内、筋胃内において、同様の所見が見られた。

小腸内に中等量のガス像が見られた。

 

仮診断: 金属中毒(おそらく鉛?)

 

治療: 暖房処置

     放し飼いを禁止し、飼育ケージ内看護を指示。

     キレート剤(金属中毒治療剤)、強肝解毒剤、 整腸剤、 総合ビタミン剤の内服投与

経過: 日毎に元気食欲が回復し、3週間後に投薬を終了した。

 

コメント: 鳥の金属(鉛)中毒の診断は難しいのですが、症状の進行が早く、速やかな仮診断・対症治療が必要となります。

そこで、比較的負担の少ない迅速なレントゲン検査が有用な検査になります。

大部分の鉱物質は、X線上においてボレー粉やグリットよりも高いデンシティー陰影(強い白)の金属陰影を示し、そ嚢、腺胃、筋胃、腸管に存在します。

臨床症状、レントゲン所見、状況証拠などを総合的に判断し、速やかな仮診断を下し、治療に入ります。

確定診断には、血中鉛濃度の測定が挙げられますが、1ccの血液が必要なので小鳥では難しいのです。

治療は、早期であれば「金属中毒治療薬」のキレート剤が効果的です。

しかし、治療が遅れたり、症状が重度の場合は、死に至るケースもあります。

 

金属(鉛)摂取の理由: 

オウム、インコ類は光る物に対する強い好奇心があります。これはグリットとなる物を接種する習性と関連があります。また、鉛は比較的柔らかい金属なので、鋭い嘴と強靭な咬力を持つオウム、インコ類は容易にかじり取ってしまうのです。

一般家庭で見られる鉛が含まれる製品は、「亜鉛メッキ鋼線(低価格の、おもり(カーテンウエイト、釣り用、ダイビング用、鳥用の玩具)、リノリウム、バッテリー、ハンダ、鉛の鳴子入りベル、ステンドグラス、アクセサリーなど、」たくさんあります。

 

室内で放し飼いをする場合はくれぐれも気をつけることです。