症例・・・セキセイインコ オス 2歳 Bw32.1g サフラン
プロフィール・・・生後2ヶ月齢から飼育
ケージ飼育、但し2時間程は室内で自由に放鳥
ケージ内にはおもちゃ、鏡など遊び道具が備え付けてある
カナリアシードとボレー粉が大好きである。
主訴・・・最近、尾羽が抜け、その後生えてこない 食欲はある。
1~2ヶ月に1度吐く 今日、緑便をした。
H20年4月にもヒナを購入したが、2ヶ月ほどでそのヒナが落鳥したこともあり、心配で診てほしい。
❈ 車で1時間ほどかかるN市からの来院で、インターネットで病院を知り、診察に訪れました。
身体一般検査: BCS2(体重は32.1gですが、胸筋は薄く、痩せていました)
腹部は軽度に膨満していました。
尾羽が抜け落ち、新しく生えている気配はありません。
そ嚢は拡張し、そ嚢停滞が疑われました。
呼吸器系、循環器系、脳神経系に異常は確認されませんでした。
糞便検査: メガバクテリア(+)
レントゲン検査:
そ嚢内にはボレー粉を含んだ餌が充満していました。
心臓の背尾側に見られる腺胃が拡大し、筋胃には多量のグリットが認められ、やはり拡大しています。
背腹像では、砂時計陰影の左側下部が拡大しています。この拡大領域にガス像が見られ、
腺胃が明らかに拡張していることが確認されました。
グリットを多量に詰め込んだ筋胃が右側領域まで拡大しています。
診断: 腺胃拡張症候群
グリットインパクション?
原因・・・メガバクテリア症 、 ボレー粉の多食?
腺胃拡張症候群:
ウイルス、メガバクテリア、不適切な食事、慢性重金属中毒、腫瘍などによって、腺胃平滑筋の弛緩、迷走神経麻痺が起こり、腺胃が拡張します。
症状は、嘔吐、吐出、下痢、胃の通過障害、食欲不振等で、治療は対症、支持療法です。
治療に反応しない場合は予後は不良です。
グリットインパクション:
穀食鳥の筋胃内の砂粒をグリットといいますが、摂取しているグリットには塩土、焼き砂、ボレー粉などがあります。飼い鳥はグリットを好む傾向があり、これを過食し、筋胃内に充満することが原因です。重度の場合は、通過障害を起こし死に至ることもあります。
治療: 抗真菌剤(アムホテリシンB)、抗生剤、胃炎消化性潰瘍治療剤、総合ビタミン剤
ボレー粉給餌の中止
尾羽が抜けてしまったことについては、消化機能低下による栄養障害が考えられますが、PBFD等のウイルス疾患も否定できません。
今後、経過次第ではウイルスの遺伝子検査の必要性も提示していく予定です。
コザクラインコのクーベ(♂10歳)も腺胃拡張と診断されました。
腺胃拡張は治療できるのでしょうか?治療できるようでしたら是非診察して頂きたいです。
ご返事をお待ちします。よろしくお願い申し上げます。
腺胃(前胃)拡張症候群の概要については記載しましたが、原因はウイルスや真菌などの微生物の感染に食事等の環境要因が重なって発症します。
サフランちゃんは、その後の検査で、PBFD(サーコウイルス感染症)であることが判りました。
腺胃拡張症候群を放置すれば、悪化の一途をたどります。
きちんと検査、診断し、進行をくい止める治療を検討すべきと考えます。
有仁
有仁さま
ご返事をいただきまして有り難うございます。
クーベは現在体重が33g前後でペットヒータ(100W)の暖房がないと吐き戻しをはじめます。すぐにでも連れて行き診察を受けたいのですが、東京から静岡への交通時間もあり、もう少し暖かくなってから診察をうけようと考えています。
その際はよろしくお願いいたします。