症例・・・ウサギ(ドワーフ) メス 3歳8か月  ウー

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プロフィール・・・W幼稚園で飼育

          2歳時に子宮内膜症・・・子宮卵巣摘出術

          2歳3か月時・・・急性食滞症状で入院

症状・・・昨日まで変わりなく、食欲元気著変なし。

     今朝から食欲なく、いつものように動かない。排便がない。

 

レントゲン検査・・・胃の拡張(多量の液体とガス貯留)、十二指腸内のガス

 

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上腹部を占拠する胃の拡張が認められます。

幽門から十二指腸内に太い線状のガス陰影が見られます。ガス像の遠位で通過障害が考えられます。

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治療  輸液、消化管運動改善剤(メトクロプロミド)、鎮痛剤、抗生剤

     入院させ、暖房。     

 

8時間後のレントゲン所見: 胃内の内容物が流れ始め、胃の拡張が改善しています。十二指腸内のガス像も消失しました。

野菜と牧草を自分から食べ始めました。

翌日退院。

 

コメント:  ウサギは急性(突然)に胃腸の運動性低下が起こることがあります。原因の多くは飲み込んだ毛と食事内容物が絡んで、腸内の流れをせき止めることで発症します。

起こりやすい要因として、

 不適切な食事・・・牧草、乾草の給与不足。

            乾燥野菜、炭水化物性加工食品、ラビットフードの多給。

            食事内容の変化

 環境変化(引っ越し、飼育場所の移動、餌の給仕者が変わる、同居者、同居動物の変化など)

 寒冷時(気温の変化)

 換毛期、何らかの病気が理由で抜け毛が多い。

 ストレスによる過剰グルーミング                   などです。

食滞の程度は様々で、通過時間の延長程度の軽いものから、後方への飲食物の動きが全くなくなる重篤なイレウス(腸閉塞)になる場合もあります。

イレウスでは緊急疾患ですから、早期の治療が必要です。

ウサギの飼い主は起こりやすい要因を可能な限り減らす飼育管理を心掛けることが肝要です。