症例・・・紀州犬  去勢オス  9歳  リュウ

プロフィール・・・3か月齢時 パルボ感染症 

          6か月齢時 皮膚形質細胞腫摘出

          1歳時よりアトピー性皮膚炎、外耳炎の断続的治療

症状・・・ H20.4月: 狂犬病予防注射時の定期検診での血液検査・・・白血球数増加

        食欲元気あり、一般状態良好 治療: 抗生剤

       5月: 食欲元気あり、腹部が少し張った感じがする

          エコー検査、レントゲン検査で脾臓の腫大を確認 

        治療・・・開腹による脾臓摘出手術

 

 

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開腹すると、直下に大きな腫瘤を形成した脾臓が確認された

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胃脾動静脈の他、脾臓に走行している血管を確実に結紮して脾臓を摘出した。

 

 

摘出脾臓・・・931g

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摘出脾臓の病理組織学的診断: 悪性リンパ腫

  概要: 脾臓内に形成された腫瘤には悪性リンパ腫が認められる。出血が顕著に見られる腫瘤内を置換して増生する腫瘍細胞は、混在する血管内皮細胞の核に比べて小型の円形不正核を有し、クロマチンが著増して核小体明瞭である。腫瘍細胞には多数の核分裂像が認められる。脾被膜は保たれて、腫瘍細胞の増生は脾臓実質内に限局している。

脾臓で見られるリンパ腫の多くは多中心型なので、造血系臓器を確認すると共に、末梢血で白血病化していないか確認の必要がある。

コメント:

腫瘍が被膜を破らずに、まだ脾臓実質内に限局している時に脾臓摘出できたのは、希望が持てました。

10日後より抗ガン剤治療を開始しました。

  COP(ビンクリスチン、エンドキサン、プレドニゾロン)多剤併用療法

  1週間に1回を2か月、その後2週間に1回を現在まで継続中。

 

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6か月経過した昨日、リュウちゃんが来院して、いつもの抗ガン治療を実施して、何事もなく帰って行きました。

いつ転移してもおかしくない悪性リンパ腫ですので、今後も検診と治療を続けていく予定です。