症例・・・フェレット(バタースコッチ) 去勢オス 6歳4か月  ミル

プロフィール・・・3歳時 非炎症性左右対称性脱毛  各種検査で副腎疾患を 疑い、

          外科、内科治療オプションをオーナーに提示、内科治療を選択。

     治療: 酢酸リュープロレイン(GnRHアナログ)の1か月毎の投与

     経過・・・ 3ヶ月後にはオーナーが満足できる発毛が見られた

           4歳時 再び脱毛始まる  同治療開始

           4歳5か月時  尿道閉塞症   麻酔下で閉塞解除処置(前立腺腫大認めず)

           5歳4か月時  尿道閉塞症     同治療

現症状(6歳時): ふらつき 軽度低血糖(Glu 67 ) 脱毛の進行

エコー検査: 左副腎の腫大(12.8mm×8・1mm)  副腎腫瘍の疑いを示唆

治療:  オーナーの同意があり開腹による外科的治療 

 

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エコー検査:  左副腎腫大 (12・8mm×8・1mm) 副腎腫瘍が疑われます。

 

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開腹するとあずき色に変色した副腎の一部が脂肪に被われて、顔を見せています。

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副腎は明らかに充実性の腫瘍を形成し、後大静脈に向かっています。

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更に剥離を進めると、腫瘍は後大静脈内に侵入していました。

この状況から、副腎癌と判断、摘出するためには後大静脈を切開及び部分切除する必要性がありました。

大出血の大きな危険性をはらんだフェレットの後大静脈にアプローチするリスクについて、オーナーと術中に相談しました。

大出血→術中死の可能性は否定できないこと、このまま閉じてその後の内科治療で余命を見守る選択もあることを説明しました。

オーナーは後者を選びました。

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ミルちゃんは、その後順調に回復し、4か月が過ぎました。顔以外の殆どの毛は無くなりましたが、

体重は安定し、食欲元気も良好です。

家族に精一杯可愛がられて、この冬も乗り越えて欲しいですね。